Date: Thu, 22 Nov 2001 22:25:48 +0900
From: "●●かおり" <XXXXXX@h5.dion.ne.jp>
To: ●●弘子 <XXXXX@XX.mnx.ne.jp>, ●●美恵 <XXXXX@XXX.ne.jp>, ●●和奈 <XXXXX@XX.dion.ne.jp>,
●●有里 <XXXXX@XXX.ocn.ne.jp>, ●●惠子 <XXXXX@XX.dion.ne.jp>, ●●瑞枝 <XXXXX@hotmail.com>,
●●和美 <XXXXX@XXX.biglobe.ne.jp>, ●●貴子 <XXXXX@XX.infoweb.ne.jp>, ●●美樹 <XXXXX@hotmail.com>,
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●●理絵 <XXXXXXX@ezweb.ne.jp>, ●●大輔 <XXXXXXX@XXXX.ttcn.ne.jp>, ●●智美 <XXXXXXXX@docomo.ne.jp>,
●●Yumi <XXXXXXX@hotmail.com>
Subject: Fw: 警戒メール
私はコールバックしてしまいました。
どうしよう・・・。
----- Original Message -----
From: "●●Miki" <XXXXXX@ZZZ.co.jp>
To: "●●Yoshiko" <XXXXXX@ZZZ.co.jp>; "●●Eri"<XXXXX@ZZZ.co.jp>; "●●Eriko" <XXXXXX@ZZZ.co.jp>;
"●●Masayo"<XXXXX@ZZZ.co.jp>; ●●Ayaka" <XXXX@ZZZ.co.jp>; "●●Fumie" <XXXXX@ZZZ.co.jp>;
"●●Rika" <XXXXX@ZZZ.co.jp>; "●●Hitomi" <XXXXX@ZZZ.co.jp>; "●●Noriko" <XXXXX@ZZZ.co.jp>;
<XXXXX@XX.dion.ne.jp>; <XXXX@XX.dion.ne.jp>; "yoshiko'"<XXXXXX@XX.ezweb.ne.jp>
Sent: Thursday, November 22, 2001 1:35 PM
Subject: FW: 警戒メール
> ちょっと恐いので皆に転送します。
> ご注意!!
>
> > -----Original Message-----
> > From: ●●Mayumi
> > Sent: Thursday, November 22, 2001 1:29 PM
> > To: ●●Reiko; ●●Miki; ●●Tomoko
> > Subject: FW: 警戒メール
> >
> > 番号が東京だけじゃなくて、名古屋・大阪方面にも
> > あったのでお知らせしておきますね。
> > 皆さんも気を付けて下さい!
> >
> > -----Original Message-----
> > From: ●●Kaori
> > Sent: Thursday, November 22, 2001 1:23 PM
> > To: ●●Rumiko; ●●Yoshie; ●●Mayumi; ●●Makiko;
> > ●●Masako; ●●Asako; ●●Kazuko; ●●Kotoko; ●●Atsuko; ●●Shiori
> > Subject: FW: 警戒メール
> >
> > 首都4佐瀬さんからのメールです。
> > 仕事じゃないけど、みんなにも転送しておきますね!
> >
> > -----Original Message-----
> > From: ●●Makiko
> > Sent: Thursday, November 22, 2001 1:08 PM
> > To: ●●Kaori; ●●Mariko; ●●Shoko
> > Subject: FW: 警戒メール
> >
> > 私は17日に不在着信になっていました。
> > 誰かの自宅かな?なんて思っていて
> > よくわからないから、又かかってくるだろうなんて思っていて
> > 忘れてました。
> >
> > さっき確認したら、ひゃーって感じ 私にもかかっていた・・・
> > -----Original Message-----
> > From: ●●Chie
> > Sent: Thursday, November 22, 2001 11:53 AM
> > To: ●●Makiko; ●●Kiyomi; ●●Kazuyo; ●●Ayumi; ●●Kayoko;
> >●●Tomoyo; ●●Yuriko; '●●Baru';●●Fushimi (E-mail);みおちゃん (E-mail)
> > Subject: FW: 警戒メール
> >
> > -----Original Message-----
> > From: ●●Touru
> > Sent: Thursday, November 22, 2001 11:42 AM
> > To: ●●Masaaki; ●●Keiko; ●●Toshiyuki; ●●Ryoya; ●●Junko;
> > ●●Hiroaki; ●●Kazumi; ●●Michiyo;●●Isamu; ●●Ryuichi; ●●Tomoko;
> > ●●Hideo;●●Hiroko; ●●Eiko; ●●Fumiko; ●●Mikihisa;●●Eiko;
> > ●●Miho; ●●Miki; ●●Chie;●●Yutaka;●●Mine; ●●Emi
> > Subject: 警戒メール
> >
> > -----Original Message-----
> > From: Yxxxx,●● [SMTP:XXXXX@XXX.mitsui.co.jp]
> > Sent: Wednesday, November 21, 2001 6:03 PM
> > To: 'QQQQQQ@XX-XX.infoseek.co.jp'
> > Subject: [QQQQQQ:00340] Q会忘年会と警戒メール
> >
> > 私の友人から下記の警戒メールについて情報がありましたので
> > 注意して下さい。
> > 各位
> >
> > 証券会社間の情報交換から添付の警戒情報あり。
> > ご参考。
> >
> > -----Original Message-----
> > From: fXXXXX@smbc-card.com [mailto:XXXXXX@smbc-card.com]
> > Sent: Wednesday, November 21, 2001 5:56 PM
> > To: QQQQQQ@XX-XX.infoseek.co.jp
> > Subject: [QQQQQQ:00339] Q会忘年会の件
> >
> > <<気を付けろ.doc>>
|
x,z,Qはプライバシー保護のために他の文字を置き換えたもの また●●は名前を置き換えたもの
この例では、21日の夕方から22日夜にかけてのわずか1日の間に、9段階も転送が繰り返されているのである。転送間隔は6分、6分、7分、11分、15分と短いものが多い。短時間で転送が繰り返された理由は、第一に、この話のインパクトが非常に強く、転送せずにはいられなかったためである。そして第二に、これが現代的特徴ともいえるが、利用者
の多くが常時接続のインターネットを利用していたためである。さらに、短時間で転送されているものは全て業務時間内であることから、多くは職場のインターネットを使っていると考えられる。職場でパソコンを使う作業をしているときに合図とともにメールが着信する。それを見て転送するので、転送間隔が短いのである。最短で6分の転送とはメッセージのチェック間隔を3分とか5分の短時間に設定しているのであろう。またメールアドレスから判断すると女性が多いが、これは、いつもパソコンに向かって作業する人に女性従業員が多いせいかもしれない。一方逆に比較的長い間隔があいているのは、昼食時間や、夜間をまたいでいる場合であった。
一方一度に転送する人の人数の多さにも注目すべきである。この場合は3人から最高23人に及び、平均すると11.9人である。さらにメーリングリストもあるので、一度の転送で送られる先はより多くなるかもしれない。このように多くの人に転送できるのは、現在では多くの人がインターネットを利用しているために、アドレスを知っている知り合いの数が多くなっているためである。仮に1人が10人に転送しそれを9段階繰り返したとすると、10億人に到達することになる。もし日本人全員がメールアドレスを持ち、例に挙げたメールの調子で転送されたとすれば、わずか1日で一つのうわさが日本人全体に知れ渡ることもあり得るのである。(もちろん実際は、転送間隔、人数そして仲間集団の異質性等によって計算道りには行かないだろうが。)しかし、いずれにせよ、インターネット利用者の広がり、常時接続の普及、そしてiモード等の携帯電話による常時アクセス環境などにより、ネット経由の流言伝達力がアップしている事は間違いないことである。
(2)社内メールの公共性−信憑性の源泉
流通しているメールのいくつかには、次のようなNTT関係者への言及がなされ、情報の信憑性を高めている。
NTTに勤務している親戚のものからメールが来ました。
個人的なメールで恐縮ですが、私の親しい知人には知らせたくメール致しました。 |
| |
これは私の属するあるメーリングリストに11月27日に投稿されたメールに見られたものである。そのほか私が勤務する学内に流されたメール(11月26日付)の発信者に聞き取りをしたところ、やはりもとはNTT関係者からのメールであるということであった。それを聞いたときは、まさかこのような誤情報が専門家の間で流通するはずはなく、単に信憑性を高めるために付け加えられたのだと考えていた。しかし以下の文章(図13)に接してそれが事実であることが分かった。
これはNTT西日本愛媛支店で、コピー(紙)の形で配布されたもので、ある職員が持ち帰ったものである。著者は情報流通の実態を確かめるために、名前が載っていた3人全員に電話で聞き取りをしたところ、次のような流通実態が確認された。
このNTT社内メールのもとをたどっていくと、図中@の▲▲氏になり、▲▲氏に問い合わせたところ、確かにここが発信元であった。▲▲氏はNTTの持株会社である日本電信電話株式会社の危機管理を担当する「第五部門」の総務担当である。▲▲氏がこの情報
図13 NTT社内で流通したメール
総務部様
研開C総務■■です
情流総研⇒西研開C(武蔵野)より下記情報が転送されてきましたので周知します.
開研C内は周知済みです
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
各研究所 緊急連絡窓口 等 様
いつも御世話になります。
情報流通基盤研究所 企画部 第一総務担当の●●です。
持株第五部門より「最近多発しているトラブル情報」が届きました。
内容については、下記の通りです。実際に私も下記の番号から電話があり、
発信した経緯があり、ビックリです。(:..:)
各所の社員の皆様にも情報提供してあげてください。
また、情報があれば連絡させていただきます。
*********************以下、五部門よりの情報内容です*****************
第五部門総務担当▲▲です
東日本お客様センタ等より、携帯電話に関するトラブル事案の情報を頂き
ましたのでお知らせします。
<手口> 番号を通知した状態でワンギリ(一回コールしてすぐ切る)してくる。
携帯電話に着信履歴が残り、その通知された番号に発信すると、
ダイヤルQ2に似た応答メッセージが流れる。(出会い系など)
<請求> これだけで、携帯の通話料とは別に10万円程度の請求がくる。
取り立ては厳しいらしく、実際に被害が出ているそうです。
また、下記番号にも可能性あり
<番号>
06-6301-1999 052-733-1551 052-733-1288
−中略−
03-5423-2570 06-6300-0702
(対応策)
着信履歴で心当たりの無い番号へは絶対にかけないこと。
(その他)携帯の持ち主の住所をどのように調べているかは、不明のとのこと。
新しい情報が入りましたら、その都度周知します。
以上
¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
西日本電信電話株式会社 研究開発センタ
総務担当
■■△△
〒554-0024 大阪市此花区島屋x-x-xx
xxxxxxxxビル
TEL 06-xxxx-xxxx
FAX 06-xxxx-xxxx
E-Mail: xxxx@xxx.west.ntt.co.jp
¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
1/2 01/11/26 8:50 |
| |
を知ったのは11月21日であったが、情報源は、社外の知り合いからメール、東日本お客様センタ、そして社内の知り合いからの電話などであった。10万円請求の話は社外の知り合いからと、知り合いの社員から、実際にひっかかった、という「また聞き」情報もあり、事実だと思ったという。ただし住所がどのように調べられたのは不審だったので、その点はメールに付け足したという。以前、加入者データの漏えい問題などもあったので、その可能性も考えたという。ある知り合いからは請求は電話であるとの話だったので、▲▲氏はそれはあり得ると思った。▲▲氏の部署では番号のいくつかに電話をして、相手が電話風俗業者であることを確かめている。
「若干の修正をしたが発信したメールの基本的なフォーマットは、まわってきたメールであり、それを22日に発信した。しかしこれはあくまで持ち株会社内だけを対象にしたものであった。信憑性については不安だったが、速報と言うことで送信した。取り扱い注意のつもりだったが、それがこれほどひろがるとは」と▲▲氏は困惑していた。とくに発信先の●●氏が「各所の社員の皆様にも教えるように」とメールに付け加えて転送したことについては、●●氏に電話して注意したという。12月第1週に話を聞いた時点では、▲▲氏は国民生活センターの情報を知らず、10万円請求の件についても、まだ本当のことだと思っているようであった。
▲▲氏がメールを送った先は、武蔵野市にあるNTT情報流通基盤総合研究所の企画部総務担当の●●氏であった(図中A)。▲▲氏によると22日にメールを受け、その日の夕方に社内向けということで、図中のような付け足しを若干して転送したという。転送先は同じ武蔵野市にあるNTT西日本研究開発センター(図中B)であった。メールはさらに大阪にある同センタの総務担当の■■氏(図中C)に転送された。■■氏によると同22日の夕方に受信し、すぐにNTT西日本本社総務部(図中D)に情報を転送したという。■■氏によると、どうやらそこからNTT西日本の各支社に送ってしてしまったらしい。■■氏自身は当時、内容については半信半疑だったという。そして■■氏の所には、その後いろいろなところから問い合わせの電話がかかり、大変困惑していた。
伝達を担ったのは全て総務担当者であるから、業務であるとはいえ、ここまでの5段階が全て11月22日内に伝達されており、その伝達速度は極めて速いといえる。しかし、コピーの右端には11月26日の日付が見られる(図中E)。これは、メールをプリントアウトしたときにつけられた日付だが、最後の社員がコピーの形で配布されたのは、総務部が受信した4日後の26日以降ということになる。
ここで最も重要なのは、NTT社内のこのメールが、流言メールに大きな信憑性を与えたことである。この話は電話に関することで、その電話の総本山とも言うべきNTTの情報であり、しかも総務部経由のメールなのである。このメールを見れば、誰もが信じたくなる気持ちも分かる。
しかし、担当者に直接聞いてみると、これは必ずしも公式な情報として伝達されたわけではなかったのである。たとえば発信元の●●氏は持ち株会社内の非公式な情報として、正確さは疑問符が有りながら、第一報として伝えたと言っているし、▲▲氏も社内とくに武蔵野研究所内だけの情報として伝えたつもりらしかった。その非公式な感じは▲▲氏の使ったスマイリーマーク(:..:)にも現れている。また■■氏もとりあえず自分の知った情報を上部に上げたというニュアンスであった。しかしこれが何段階か経るにつれ、そして外部に漏れたときには、信憑性のあるNTT情報として「公式化」してしまうのである。
非公式であやふやな情報が、公的性格を持つ組織の、社内メールというフィルターを通過することによって、権威ある情報に変質してしまう過程をここに見ることができる。そもそも、組織におけるメール情報といっても、その内容や語り口から私的性格をつよく持っている。しかし外部的、組織的には公的な性格も併せ持っている点に注目しなければならない。今回、メールないしはインターネット情報の公共性というものについて改めて考えされられることになった。
信憑性を高める同様の例としては次のようなものもあった。
これは出所はとある電気会社Hの社内メールですので信憑性はあります。 |
| |
NTTや、電気会社の社内メールだとしても、私的で不確かな情報もあるのだから、こうした解釈にはいささか無理があるように思える。しかし、こうしたクレジットは、多くの人に対して、メールの信憑性を高める効果を持つことになった。
(3)マスコミの罪
すでに見たようにこの流言が爆発的に広がったのは11月の下旬であるが、11月27日から28日に新聞各紙がこの問題を取り上げている。
『携帯ワンギリトラブル続出 高校PTA連が注意』(読売新聞11月28日)
『悪質「ワンギリ商法」消費者センターに照会殺到』(Mainichi interactive 11月27日)、
『「迷惑電話」携帯で急増』(朝日新聞11月27日)
『迷惑ケータイ県内急増 ドコモなど「悪質」注意呼びかけ』(愛媛新聞11月28日)
これらの記事は上記のようにいずれもセンセーショナルな見出しが掲げられ、読者の不安をあおっている。うわさについて、朝日新聞では「携帯電話からダイヤルQ2へとつながることはなく、通話料以外はかからない。しかし、利用者が会員登録などの手続きをするとサービス料金を請求されることもある」と一応否定している。また毎日新聞では「10万円の請求がくる」とのメールが自社に寄せられたことを紹介しながら、国民センターの「いまのところ代金を請求されたなどの事例は起きていない」とのコメントとともに、「風評の方が先行している側面もある」と記事本文では比較的、冷静に報じている。
ところが誤情報を紹介するだけで、それを全く否定していない新聞もある。例えば読売新聞の記事は次のようになっている。
図14 流言を広げた新聞報道の例1
携帯電話のコールを1回で切る「ワンギリ」を悪用し、通知された番号をリダイ ヤルすると出会い系サイトなどの案内テープが流れる迷惑電話のトラブルが相次ぎ、 全国高校PTA連合会(本部・東京、田辺一徳会長)は高校生が巻き込まれる恐れが あるとして、全国の高校PTA連合会に注意を呼びかける文書を配ったことが27日、わかった。
文書は各都道府県と大阪、神戸、京都3市の連合会あてで「番号を通知した状態で 1回コールして切る。着信履歴に発信すると応答のテープが流れる。携帯通話料とは 別に10万円程度の請求がくる」と事例を紹介。東京や大阪、名古屋など32の“迷 惑電話番号一覧”を掲載し、26日午後、ファクスで流した。
一覧表の番号に電話すると、録音された女性の声で出会い系や風俗産業の宣伝がア ナウンスされる。ワンギリは相手が出なければ無料で済むため、高校生らの間で「経 済的」「コミュニケーションの簡素化」として流行。メールに代わる若者のコミュニ ケーション手段を悪用したとみられ、8月ごろからトラブルが発生した。 |
(読売新聞11月28日)
ここでマスコミは「うわさ」を広げる元凶となっている。PTA連の行為自体は事実だとしても、情報の確認を怠り、結果としてうわさを広めてしまったという非難は免れないだろう。
読売新聞ほど極端ではないが、同様の事は愛媛新聞にもあてはまっている。
図15 流言を広げた新聞報道の例2
(前略)手口は、無作為に選んだ携帯電話にかけ、一回呼び出し音をならしただけで 切り、着信番号を残す。携帯利用者がその番号にかけ直すと、出会い系の案内ガイド につながる。発信者はワンコールで着るため通話料がかからない仕組みだ。ドコモは 「だれかが用があるのかもしれないという利用者心理を巧みにつかんだ悪質なもの」と 警戒。
国民生活センターでは「音声ガイドに従った場合、利用料請求が来る可能性がある」 と注意を促す。松山市市民生活課では「もし、脅迫まがいの請求があったら、すぐに 警察へ通報してほしい」と呼びかけている。 |
(愛媛新聞11月28日)
ここでは国民生活センターの呼びかけの一部だけが利用され、いたずらに不安をあおる結果となっている。
同様の情報は27,28日にテレビでも報道され、人々の不安をかき立てただけのものも少なくなかったようだ。
(4)専門家の対応力不足
今回の流言で、最も重要な部分は「かけ直しただけで10万円請求される」という点である。しかし、これまで見てきたように、この点について、NTTの社内メールにしろ、マスコミの報道にしろ、全く否定してこなかった。そればかりか最後には必ず「かけ直さないこと」などと注意を喚起し、流言を広め、すでにかけ直してしまった人の不安を増幅させてしまった。同様の事は電話の専門家や、犯罪の専門家についてもあてはまる。
例えばNTT東日本のホームページでは、「かけ直しは、悪質な迷惑電話の被害に遭う可能性がある」と指摘し、自社の提供するダイヤルQ2サービスとは関係ないことを明言しているが、かけ直しただけで高額な請求が来ることについては全く否定していない。
図16 流言についての電話会社のお知らせ
「お客様相談センターからのお知らせ」
〜「ワン切り」にご注意!〜
着信履歴に知らない電話番号を残し、その番号にかけ直しをさせる悪質な迷惑電話(ワン切り)が広がっており、お客様からのお問い合わせが相次いでおりますのでご注意ください。
電話は一度鳴った後に切れ、ナンバーディスプレイをご利用のお客様には着信履歴を残します。該当の番号にかけ直すと、出会い系サイトの案内ガイドやアダルトテープの販売案内などにつながるようです。
見知らぬ着信番号へのかけ直しは、悪質な迷惑電話の被害に遭う可能性があるのでご注意ください。なお、この件で請求書が送付されてきた場合は、国民生活センターや法律の専門家にご相談されることをおすすめします。また支払いを強要された場合は警察等へご相談願います。
見知らぬ着信履歴番号へかけた後に、様々な方法を使って住所・氏名等を聞き出してくるケースがあるようですが、NTT東日本では、電話でお客様のプライバシーを聞き出す事は一切しておりませんのでご注意願います。
また一部の報道、およびインターネットの掲示板において「ダイヤルQ2でつながる」「ダイヤルQ2に似たメッセージが流れる」と記載されているようですが、弊社としては以下の理由から、ダイヤルQ2との関連はないものと考えております。
(1) 現時点の情報として、携帯電話等に通知しているとされる電話番号はダイヤルQ2の電話番号(0990-*-*****)ではなく、一般の電話番号(例:03-****-****)であること。
(2) 携帯電話からは直接ダイヤルQ2に接続できないこと。 |
NTT東日本のホームページより
一方NTTドコモのホームページでは、「掛け直しただけで通常の通話料金以外の高額な請求が来ることは考えられませんが」と一応否定している。しかし「考えられない」というだけで、否定力はあまり強くない。
図17 流言についてのNTTドコモのお知らせ
悪質な迷惑電話について
最近、見知らぬ番号の着信履歴が残っており、その着信履歴を見た持ち主が番号を掛け直すと、いわゆる出会い系サイトの広告やアダルト系番組等の案内テープにつながるという、悪質な迷惑電話が見受けられますのでご注意ください。
なお、掛け直しただけで通常の通話料金以外の高額な請求が来ることは考えられませんが、着信履歴で心当たりのない番号へは、お掛け直ししないことをおすすめします。また、発信者番号通知でのお掛け直しは、先方にお客様の着信履歴が残り、無用なトラブルを招くおそれがございますのでご注意ください。
※携帯電話からダイヤルQ2サービスはご利用できません。 |
NTTドコモのホームページより
またau(KDDI)のホームページでは、「折り返し電話により、思わぬトラブルに巻込まれる可能性がありますので、心当たりのない電話番号への通話については、ご注意の程お願い申し上げます。」と流言メールと全く同じ論調で、流言の否定はない。ただし国民生活センターへのリンクを張っているので、そこでまで行けば否定的な情報が手に入ることになる。
図18 流言についてのKDDIのお知らせ
ご注意ください〜au電話をご利用のお客様へ
平素はau電話をご利用いただきまして、誠にありがとうございます
最近、携帯電話に番号通知の状態で1コール鳴らして切断するいわゆるワンギリにより着信履歴を残し、その着信履歴へ折り返し電話したお客様が、アダルト系や出会い系などの有料番組につながる悪質な行為が発生しております。
折り返し電話により、思わぬトラブルに巻込まれる可能性がありますので、心当たりの
ない電話番号への通話については、ご注意の程お願い申し上げます。
<参考> 国民生活センターへのリンク http://www.kokusen.go.jp/ |
auのホームページより
さらに、Jフォンのホームページでは、「出会い系サービスやアダルトコンテンツの宣伝テープ等に接続される」とワンギリが宣伝行為であることを言っているが、高額請求の流言に対する否定は全くない。
図19 流言についてのJフォンのお知らせ
迷惑電話にご注意ください
昨今、悪質な迷惑電話が発生しております。見知らぬ番号が携帯電話の着信履歴に残っており、それをご覧になったお客様がかけ直すと、出会い系サービスやアダルトコンテンツの宣伝テープ等に接続されるという、悪質な迷惑電話が増加しております。
1.無作為に携帯電話へ電話をかけ、1コールで切断する。
2.お客様が着信履歴機能を利用してその着信番号に電話をかけると出会い系のサービスに接続される。
3.出会い系サービス等の音声ガイダンスにて、「使用料を請求する」という趣旨の説明がある。
見知らぬ電話番号から不在着信があった際には、ご注意頂きますようお願い致します。 |
| |
Jフォンのホームページより
では、警察はどうか。警視庁庁のホームページでは、ダイヤルQ2からの請求はあり得ないと断った上で、「電話の相手先を確認する程度の利用であるのに、法外な料金を請求されるような電話があれば、相手の身分をよく確認して、利用していない旨を相手に申し立て、毅然とした対応をしてください。」と、電話をかけ直しただけで法外な請求をされたことが実際にあるかのような書き方をしている。そこで警視庁の「ハイテク犯罪対策総合センター」に問い合わせたところ、ツーショットなどの電話サービスで高額な請求が来たという相談事例はあるが、それは通常、利用後のことである。かけ直しただけで高額な請求が来たという事例は、今のところ(2002年1月中旬)確認していない、とのことであった。警察では実際の事例は確認していないものの、犯罪被害防止の観点から、いわば安全策をとって、このような警告を出したのであろう。
図20 流言についての警察のお知らせ
最近、携帯電話に見知らぬ番号からの着信履歴が残っており、電話を掛け直すといわゆる「出会い系サイト」の広告やアダルト系番組等の案内テープにつながり、後ほど、かけた電話に対して料金請求をしてくる悪質なケースがあります。
@ 心当たりのない電話番号には原則として、かけ直さないこと。
A 心当たりのない電話番号の着信にリダイヤルするときは、携帯電話等の電話番号通知を非通知にしてから電話をかける等の注意をすること。
B 電話をかけても、アナウンス等に従って操作したりせず、すぐに切ること。
C 携帯電話からはダイヤルQ2につながりません。よってNTTからのダイヤルQ2利用代金としての請求はありません。
D 電話をかけてしまっても、その電話の相手先を確認する程度の利用であるのに、法外な料金を請求されるような電話があれば、相手の身分をよく確認して、利用していない旨を相手に申し立て、毅然とした対応をしてください。
さらに、脅迫めいた請求の電話がある場合は、地元の警察署にご相談ください。 |
警視庁のホームページより
結局、流言を比較的早い時期から、はっきり否定したのは、「国民生活センター」(11月28日)、「総務省」(11月28日)、「経済産業省」(11月30日)の3つだけであった(日付はいずれもホームページ上のもの)。たとえば、総務省は『「着信履歴に残された番号にコールバックしただけで、業者に登録も行っていないのに、10万円程度の請求が来た」という事例は、現在のところ、実際には確認されていません』と否定し、経済産業省も「電話をかけ直しただけで電話料金以外の情報提供料等の請求を受けるようなトラブルは、今のところ確認されていません」としている。
一体なぜ多くの専門家たちは流言を否定できなかったのであろうか。第一に挙げられるのは、流言を否定するには総合的な情報が必要だが、各専門家の専門分野が部分的なものであったことがある。例えば、(携帯)電話会社では、自社のネットワーク内の事には詳しいので、携帯電話からはダイヤルQ2にはつながらない、とかワンギリのかけ直しで住所がわかることはない、などとは言える。しかし電話風俗業者のことになると、それは客側の事情であり、社外のことなので、詳しくはない。あるいは警察は、刑事事件捜査が中心なので、詐欺・恐喝・不正アクセスなど、はっきりとした法律があり、刑事事件に至るものについては詳しいが、それ以前の民事的なことがらについては詳しくなかったのである。逆にこの分野に最も専門的知識を有していたのは、民事的な紛争を扱っている、国民生活センター(あるいはその地域版である各地の消費生活センター)であった。しかし、電話会社もマスコミも、そのことに気づくのがおそかったようである。第二に、このように専門家の情報が断片的であったのは、電話風俗業界が比較的新しく、周辺的であることが挙げられる。従って監督官庁などもはっきりしていない。第三に流言メールで提示された情報の一部が事実であったことがある。確かにワンギリの電話広告があり、かけ直してみれば電話風俗業者につながる。メールに示された32の電話番号もかけてみれば多くはそうした業者である。ここまでは真実なのである。専門家たちもかけ直して確かめてその事実を確認したので、流言の指摘する事例が発生する可能性を否定できなかったのであろう。第四に関連する事件が実際にあったことがある。電話会社社員による顧客情報流出事件、ツーショットやダイヤルQ2に関わる高額料金トラブル、架空請求書乱発事件、インターネット不正接続による高額請求事件(3)などは今回とは異なる事件だが、確かに存在している。例えば国民生活センター(2001)によると、ツーショットダイヤルを利用し多額の代金を払ったところ、その後50社から請求が来た例や、携帯電話で出会い系サイトを利用し、1800円の請求があり、2ヶ月放置しておいたところ10万6800円の請求が別の業者から来た、という実例が紹介されている。これらはいずれも利用したり、登録した場合の、高額料金請求、および代行業者による強圧的な取り立ての例である。このような状況を知っていた場合、たとえワンギリ・コールバックで10万円請求の実害が確認されていなくても、流言を肯定する気持が生じるのは、不思議ではない。
6.ワンギリ流言と流言理論
次に、今回の流言をこれまで研究されてきた様々な流言理論と照らし合わせることによって、今回の流言の特徴を整理しておく。
(1)流言の用語
さきに、流言とは、自然発生的に、口頭で伝わる、根拠のない情報である、と述べたが、「流言」の用語法には専門家によって多少の違いがある。流言に関するものはだいたい、T社会情報的なもの、U意図的なもの、V身近なもの、の3つに分類できる。多くの研究者が一致しているのはデマとその他の違いである。デマは誰かが何らかの目的のために意図的に誤情報を流すもの(U)で、他は自然発生的である。その一方、社会的な出来事に関して広い範囲で発生する(社会情報的な)もの(T)を流言蜚語ないしは流言と呼ぶことも一致している。それに対して、身近な人やものについて、狭い範囲で語られるもの(V)については、噂話・うわさ・ゴシップなどとして、流言と区別する考え方(清水、藤竹、廣井、川上ら)と、流言と本質的には変わらないとする見方(木下、橋元ら)がある。流言と噂の区別は難しいので、本質的には変わらないとも言えるが、社会的影響力の差を重視することにも意義があるので、そのどちらがよいとは言えない。いずれにせよ、今回のワンギリ広告の話はTの社会情報的な「流言」であることには間違いのないことである。
表1 流言関連用語の整理
| 全体を指す用語 | T社会情報的 | U意図的 | V身近なもの | オールポート他(1947)
ロスノウ/ファイン(1976)
清水(1937)
藤竹(1974)
廣井(2001)
木下(1977)
橋元(1984)
川上(1997a) | rumor(デマa)
噂さ
うわさ | rumor(デマa)
rumor
流言蜚語
流言蜚語
流言
流言
流言・うわさ 流言 | rumor(デマa)
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流言・うわさ/ゴシップb
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a南博訳(1952) b人に関するもの
また本論ではメールによる流言の伝達を主に扱ってきた。これは口頭で伝わるという流言の定義に照らし合わせると問題があるように思える。しかし、アンケート調査でも明らかになったように、最も多くの人が触れたのは、直接会って人から聞いたものであった。この点、今回の流言も定義上の問題はない。今回は、おそらくメールによって広まった流言が、人づてを介してさらに広まったのだろうと考えられる。しかし問題は、今後もそのようなパターンで、必ず口頭コミュニケーションが主要な役割として伝達過程に入ってくるのか、それとも主にメールだけで広まるような方向に行くのかということである。これまで多くの流言研究者は流言の聴覚的特徴に注目していたが、メールや携帯メールの普及という新たな状況に、聴覚的流言との差など、流言の本質についての再考が必要となっているようだ。
(2)流言の発生
オールポートとポストマンは流言は伝達時のゆがみであると考えていた。その方向性は、@話が単純化していく(平均化)、A話し手の偏見に従って歪む(同化)、Bある部分だけが選択的に語られる(強調)、の3つである。ひょっとしたら、流言の発生過程ではこのうち、特に平均化の作用が働いたのかも知れない。すなわち、ある人がワンギリコールにかけ直し、それに登録し、後払い振り込みを選択して、ある程度利用したところ、その後に電話で請求があったということがあったのかもしれない。それが電話をかけ直しただけで多額の請求が来たという風に短縮化したのかもしれない。あるいは雑誌などの広告を見て電話風俗を利用した人に多額の請求が来たという話と、ワンギリの広告が入ってきたということが合体したのかも知れない。
またメールに列挙されている32の電話番号だが、示されている順に1つ1つ電話してみると、互いに同じ録音パターンが、連続して並んでいる部分がある。たとえば、図2で、左上一番初めの「06-6301-1999」から二段目左から2番目の「06-6301-7778」までは「ねえねえ寒くない?」で始まる同一業者の広告であった。この中には大阪、名古屋、東京の市外局番が見られる。かかってきたデータを1つ1つ集めたとしたら、このような順番で並べるだろうか。32の番号のうち、基本は雑誌や張り紙広告から電話風俗業者の番号をピックアップし、それに実際にかかってきた番号を付け加えていったのではないだろうか。
一方、シブタニ(Shibutani,1985)によれば、情報が不足している中で人々が納得できる解釈を求める結果として、流言が創られると言う。彼によれば流言は即興のニュース(Improvised News)であるのだ。この考え方からすると、「ワン切り広告」という今までにない経験をした人々が、それがいったい何なのかについての確たる情報が欠如した中で、コールバックすると10万円とられる、という解釈を作り上げていった、と考えることもできるだろう。
(3)流言の流布量
今回の流言は学生の8割以上が知っており、大変な広がりを見せた。なぜこれほどまでに広がったのだろうか。オールポートとポストマン(1947)は有名なR〜i×aの図式、すなわち流言の流布量は、その問題の重要度と曖昧さの積に比例すると述べた。重要度といえば、多くの人が携帯電話を持っている今日、自らも被害者になる可能性があり、その点で重要性が高いと言えるだろう。一方曖昧さについてだが、多くの人に不審な電話かかり、そのうち少なからぬ人がかけ直したところ、電話風俗業者らにつながる経験をしている。「これはいったい何だろう」と考えるものの、それに答える確固とした情報はない。この曖昧な状況から解釈の余地が生まれ、流言が発生したと考えられる。しかし伝達の広さを考えると、必ずしも曖昧な状況に陥った(不審な電話がかかってきたりかけ直してしまった)人だけに広がったわけではない。橋元(1986)も、曖昧さが存在しないときでも流言は広がると指摘している。むしろ、この流言の、話としてのインパクトが大きかったこと、具体的には10万円請求されるとか、取り立ては厳しいらしいなどといったものの力が、流布量増大に寄与しているのではないかと考えられる。
話のインパクトといえば、実験社会心理学の知見によると、人が流言を伝達する可能性について影響力するのは不安、あいまいさ、信用度の3要因だが、中でも不安が最も影響力があると言われている。すなわち、不安を感じやすい人、不安を喚起する噂、あるいは不安を引き起こす状況などが、流言を伝達しやすくするという(川上,1997b)。10万円の請求が来て、やくざなどが厳しく取り立てをするという話は、十分に不安をあおる話といえる。
また、出会い系サイトなどの迷惑メールがしつこく送られてきた経験や、同時期に流行した「アライズ」などのコンピュータウイルス、あるいは現実に起こった電話風俗の多額請求事件といった社会的状況も、不安や信用度を増す原因となった。
(4)メールによる伝達と変容
第一に、メールで伝達された内容を見る限り、話の変容は限られたものであった。その最たるものが先に紹介した「流言メール・トヨタ版」である。紹介した例では9段階を経て伝達されているが、添付ファイルという形で転送されたので、その基本的内容は一字一句変化していない。その他の全く別の系統で伝達してきた場合でも、特に32の「警戒すべき番号」はどのメールでも全く同じで、これには驚きを感じる。メールの場合は添付でなくても簡単に転送や、コピー+張り付けができるので、不注意による変容の可能性がほとんどないのである。国民生活センターのホームページでは、同センターの相談受付電話番号が記入されている変形が見られた、と報告しているが、逆にそうした変形がある方が意外なことである。これは32の番号の内一つである「03-3446-0990」が一つ違いで「03-3446-0999」となったためと思われるが、普通にコピーしたのではなく、携帯メールで送るために書き写した際のミスであろうか。
第二に、メールによる変化の特徴としては、「平均化」とは異なり、むしろ話に尾ひれが付き、精緻化していく現象がよく見られる。たとえばNTTの第五部門でみられた「携帯の持ち主の住所をどのように調べているかは、不明のとのこと」といった付け足しがそれだ。あるいは次のように、もっともらしい解釈が付加されて、信憑性を高めたものもあった。これらはシブタニ(Shibutani,1985)のいう「Improvised News」的である。メール情報について不明な点を、即興のニュースをつくることで、補っているのである。
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