携帯電話を利用した若者の言語行動と仲間意識 『日本語学』2000年10月号
(1)はじめに
 携帯電話(およびPHS)は二〇〇〇年八月には加入者が合計六〇〇〇万を越え、近年急速に普及が進んだ。特に若者の間での普及はめざましく、我々が行った調査によると、大学生の普及率は九割を越している状況である。若者はこうした携帯電話(PHS)を利用してどのような言語行動をしているのか、そしてそこではどのような仲間意識ないし人間関係が営まれているのか、本論では量的調査、及び実際にやりとりされている携帯メールの内容分析などを手がかりに、これらを明らかにしていく。ここで参考にする量的調査とは、著者が二〇〇〇年四月に松山市の大学生四八六人を対象に行った調査(学生調査)と、二〇〇〇年三月に東京大学社会情報研究所が全国の一三才から七〇才までの一般市民二〇一六人に行った調査(SIC調査)、および前記SIC調査から携帯電話利用者四一三人を無作為に抽出して行った調査の(SIC携帯調査)三つである(後二者についてはマルチメディア振興センター,二〇〇〇参照)。
 SIC調査によると、携帯電話(PHS)所有率は中学生で一五.三%、高校生で五五.八%、大学生で九一.五%であった。また学生調査では携帯電話の利用率が七二.八%、PHSの利用率が二〇.四%で、携帯電話またはPHSのどちらかを利用している人は九一.二%であった。ここから大学生レベルでは、もうほとんどが携帯電話(PHS)利用者であるといえる。(なお以後本論では携帯電話とPHSをあわせて単に携帯電話と呼ぶ。)
 携帯電話は電話機であるが、現在では大きくいって三つの使い方がある。第一は普通に音声の通話に使う場合、第二は電子メールや文字通信などのメールのやりとりに使う場合、そして第三はインターネット端末としてホームページの閲覧やソフトの取り込みに使う場合である。学生調査からその利用頻度をみると、音声の電話として利用する場合は一日一〇回以上が四.七%、一日五−九回が一七.六%、一日三−四回が三一.二%、一日一−二回が二六.二%とほとんど(八割)の人が毎日利用しており、利用頻度は頻繁である。またメールのやりとりとしては、一日一〇回以上が一三.三%、一日五−九回が二四.四%、一日三−四回が二一.七%、一日一−二回が一五.八%と同じく八割近くの人が毎日利用している。逆にメールを利用しない人は携帯利用者の五.四%しかいない。また一日一〇回以上とか五回以上の利用頻度の高い人を見ると、メールの方が多くなっており、音声で話すよりより頻繁に携帯メールのやりとりを行っている。もはや大学生にとって携帯電話は明らかに電話以上のものになっているのである。一方iモードなどで最近話題になっている情報サービスだが、こちらの方はそもそも契約者が携帯所有者の52.4%で、その中での利用頻度も、ほぼ毎日が一九.四%、週数回が二二.四%週に一回程度が一一.二%など、電話やメール利用に比べるとマイナーな存在となっている。
(2)携帯電話の音声利用と人間関係
 携帯電話の音声利用については記録がしにくいので、言語表現について直接調べるのは容易ではない。そこでアンケート調査によってその表現や内容の特徴を見てみる。携帯電話は固定電話と比べると、簡便性(手軽に電話できる)、直接性(直接相手につながる)、常態性(何時でも電話がつながる)などの特徴を持っているが、なかでも直接性は電話の表現を変えているようだ。固定電話では、自宅であれ、職場であれ、1つの電話を何人かが共有することを前提として会話が始まる。従って「もしもし△△さんのお宅ですか、○○と申しますが、××さんはいらっしゃいますか。」などの挨拶が必ず入ることになる。しかし携帯電話では「もしもし、○○だけど、今どこ?」などといって会話が始まることになる。学生調査では四七.四%の携帯電話利用者が「移動電話にかけたときは挨拶抜きで、いきなり本題に入ることが多い」としている。またそうした場合には、上記の例のように会話の開始におる丁寧表現が無くなることにも注目しておきたい。こうした通話に慣れると、固定電話に電話したときにも挨拶の省略や丁寧表現の消失が起きるのか、それとも単に固定電話と携帯電話で表現上の使い分けが起きるのか、今のところは不明である。
 また横浜国立大学の佐々木教授は、携帯電話では「大丈夫?」「まじ?」「いいの?」など会話の内容を確かめる言葉が多いと指摘する(毎日新聞八月二四日)。視覚的手がかりが欠如した(キューレスネス)状況では、固定電話でも、対面に比べ相づちが多くなるが、携帯電話では音声が不安定なためにこうした傾向がいっそう強まるのであろう。
 次に携帯電話で話される内容である。我々は携帯電話でとりとめもない話をする若者に街頭でよく出会い、若者は携帯電話で無駄話ばかりをしている、という印象を受ける。しかし、実際利用者によく話す内容を聞いてみたところ、もっともよく話す内容は84.5%の学生が答えた「待ち合わせなどの約束や連絡」であった。その一方で「そのときあった出来事や気持ちの伝達」や「特に用件のないおしゃべり」をよくする学生はいずれも4割ほどにとどまっていた(SIC携帯調査)。意外にも、若者の携帯電話利用の主流は用件伝達であり、街頭でよく見かける若者たちは全体の4割にあたる比較的少数派だったのである。
        図1 携帯電話(音声)の伝達内容       (SIC携帯調査)
 携帯電話でやりとりされる人間関係として、特徴的なもの二つが指摘されている。第一は、吉井らが指摘する「フルタイム・インティメート・コミュニティー」である。これは携帯電話は日常的に会う親しい友人との間で使われ、会って話し、移動中は携帯電話で話し、家では固定電話で話すなど、一日中つながりあっているような親密な関係性を意味する。学生が携帯電話でやりとりする相手をみると、もっとも多くの人があげたのが「ふだんよく会う友人」(八六.〇%)だった。(第二位は四七.四%の同居家族で、三位はふだんあまり会わない友人(四三.九%)であった)ここから、携帯電話のつながりは確かに対面接触と平行して行われていることがわかる。しかし「会ったばかりの友人・恋人と携帯電話でだらだらおしゃべりすることがある」という人は学生でも一九.〇%にとどまった。(いずれもSIC携帯調査より)。携帯電話の音声利用において、「フルタイム・インティメート・コミュニティー」はその存在が確認されたものの、それほどの広がりはないようである。
 第二は携帯電話の発信者番号表示機能によって、気に入らない相手には出ないなど、コミュニケーションを自由に選択しあう関係が広がっているのではないか、という指摘である。学生調査によると四二.九%の利用者が「かかってきた電話には、表示された相手の電話番号によって、出るかどうかを決めている」と答えており、こうした行為はある程度の広がりを持っているようである。ただこうした行為は、携帯電話の常態性の性質から拡大してまった接触機会を制御・相殺するという側面もあるだけに、オン・オフ自在のドライな人間関係が進行しつつある、と言っていいのかどうか、慎重な検討が必要である。
(3)携帯メールの言語行動
 著者は勤務先の学生に各人に来たメールを転送してくれるよう依頼した。こうして収集した五〇あまりの文例から、携帯メールには次のような表現上の特徴があることがわかった。 
 第一に表現はくだけた口語体である。そしてそれ故にいつも彼らが使っている(四国)方言が文章化されている(例<2><3><7><8><10><12>)。あるいは毎日新聞(八月二四日)で指摘されるように、「おほほ」といった擬音語(例<1><3>)や「席とっといちくり」といった幼児化した表現(例<2>)もしばしばみられる。また「暑いなー」とか「はじめまーす」なと「ー」を使った表現も多い(例<7><12>)。第二に、(とくにiモードの)機種依存絵文字が多用されている(例<1><2><4><11><13>)。これはパソコン通信などによく見られる「(」や「+」などの規格文字を組み合わせる絵文字(<10>に見られる)とは異なり、1文字で表され、他機種同士では利用できない。こうした絵文字は女性のメールに多いようである。絵文字の中で多用されるのは、笑顔 (喜び又は元気を表す)、音符 (ルンルン気分を表す)、拳 (がんばれ又は怒りを表す)、ハート (愛情を表す)などである。こうした絵文字表現には@感情を豊かに表現したいA相手の気持ちを和ませ無用な衝突を避けようとする気づかいB無意味な修飾、という3つの用途があると考えられる。第三に、文章の長さや漢字など文章表現は、携帯メールの入力しにくさにも関わらず、あまり省略されない。かつて流行したポケットベルやショートメールなどでは送信できる文章の長さの制限が二〇字程度ときつかったために、文章が短かく、仲間内だけで使われる省略表現が発達した。しかし現在利用されている携帯メールでは、二五〇から三〇〇〇字と比較的長い文章が送信でき、漢字変換も比較的容易なので、普通のメモと同じような表現がされている。しかし、例<5>や<9>のような長い文章を入力するにはかなりのスキルと労力が必要であると考えられる。
              携帯メールの実例
@用件
<1> 頑張って10時に行く〓もし来なかったら電話おくれやす〓本ありがと!明日お金払うよ 出世したから〓おほほ〓 たなち
<2>今日は少し遅刻するけど行くけん、席とっといちくり〓
A感情表出・相談
<3>いたメ-ルしたろ?ゆるさんよ にゃろ- たけ
<4>綾子だけよ。なんかかなりうれしかった〓本当にうれしかった〓〓まってるから〓仕事もうしたくない
<5>本当にいつもいつもありがとうございました。今回はたくさんのお荷物と一緒だったり・・・。誠に感謝感謝でございます。話は変わるけど一つ。××の人のことですけど、回りがなんと言おうと自分の気持ちを大切に。別にその人と付き合ったからといっておれは怒りませんよ。自分に正直になりましょう。もしかしたらおれだって○○と仲よくなるかもしれんし。(はい、これは嘘)まじでそれはないけど、とりあえず後で後悔するよりは自分で思ったことをやればいいと思います。それではまた今度。
<6>こんなに暑いのか?今日のバイトはもう駄目かと思ったよ。社会体制論、大丈夫かなぁ?力でないよ、全く。
B現況報告
<7>今からバスにのって家にかえってきますってゆうかもうのっとるけど・・・ 香川まで2時間ちょっとかかるきん暇です そういえば実家の部屋にはクーラーがないんやった 暑いなぁー
<8> 私は今日でひとまず実習おわりました〓ってゆっても二週間後にまだあるんやけど…それがおわれば一年間の実習生活からおさらばよ。がんばります。かおもそろそろテストやないん?がんばれよ〓
<9>今日は3階に一人ということで一人で飲み会を〓カルカルパーティ〓ばんじゅが山程あってたまらん〓2階は誰と一緒かな〓モヤとチキチキボーリング大会〓玲子ヘボすぎ〓懐かしのふぐコース〓今日モヤが家に帰ったらカメムシが壁中をおおいミドリミドリしくなっとるよ〓想像するだけでキモい〓浦野クンから「パンいります〓」って電話かかってきて可愛げ〓なんか昔に帰ったかのような感じやった〓一瞬きよらいだ〓よかいち一気しとく〓夏が1番好きやね〓暑いけど〓今度こそは早苗飲み〓さきに酔っ払って帰宅とか彼女らしい〓ステキ〓ではまた今夜〓ワンギャル      
C身の回りの話題
<10>さっそくヒスのチャイナを着てみたが・・・スケスケ(汗)1枚じゃ着れんな・・・ジーンズはサイズ丁度良かったよ。パツパツやけど微妙に伸びるし。又来週も買わんとなぁ・・・早くチャイナGETせんと売り切れるよ(笑)火曜日着てきます(^_^)/
<11>肌ざむい夜に私より夏本番な女発見!ジーパンにキャミソール一丁〓いくらなんでもこりゃヒドイ〓
<12>今日はバイトが暇過ぎて、めちゃ疲れた。もんたの情報処理の授業、代わりに受けたかったくらいよ。私も公務員講座を辞めて、パソコン関係の講座に変えたいよー**。アクセスとか。よく分からんけど。話は変わるけど、言ったかもしれんけど、「真奈美」っておったやん。あのひと、そーとーやせたんよ。今度見といて。ところで、今学校で課題が山のようにでて、私も発狂寸前。英語もそのうちのひとつやけど。すすんでる??私は1日1ページが限界よ。そんじゃあ、いまからはじめまーす。
D一般的話題
<13>こんにちはアタシはキティ〓実はみんなに黙っていたコトがあるの・・・ママにお買い物を頼まれて魚屋さんまでいつも通りに歩いて行ったの〓帰りは気分がよかったので少し遠回りして公園の辺りまで行ったの、その時〓後ろからアタシにあの人が・・・必死に抵抗したけどあの鍛えぬかれた体にはムリだったわ〓あっいやっやめてーっあ・あ〜ん〓そして・・・・・元気な子が生まれました。見てやって下さい。 http://www1.neweb.ne.jp/wa/home1/kinnnikukitty.gif
Eチェーンメール
<14>ラブコ−ル〓これを今日中に5人に送ると好きな人から電話がかかってくるよ〓それは運命の人です〓ステキでしょ?もし、ここでやめてしまえば・・運命の人に巡りあえないかも?!
<15>すげー!ちゃんと三人に送らないと見れないようになってんだ!マジびっくりだ!モーニング娘全員のオールヌードが見れるよ〓これは最近出回っているうそっぱちのメールと違います〓だから信用してください〓見たい人はアイモードどうしで3人にこのメールを送ってください。送られたかどうかはアイモードセンターにてカウントされます。これは絶対です〓http://www..ac.jp.html/count/moning@.
        (ただし名前は仮名、○○、××は後補、〓は機種依存文字のため不明)
 次に携帯メールの内容だが、その第一の特徴は、コンサマトリー性(自己充足性)である。音声に比べて、その時々の出来事や感情を伝達すること自体が目的の内容が多くなっている。例えば学生調査で、ふだんどのような内容をやりとりするかをたずねたところ、現況報告(七〇.九%)、身のまわりの情報(六六.八%)、ちょっとした気持ち(六〇.一%)などの内容が多かった。その一方待ち合わせの連絡(三〇.五%)やあいさつ(二〇.〇%)は少なくなっている。SIC携帯調査でもコンサマトリーな内容い傾向は同じだが、待ちあわせなどの約束や連絡もかなり多くなっている(図2)。
        図2 携帯メールの伝達内容         (SIC携帯調査)
 以上の調査及び収集された実例によって内容を整理・分類すると、次のようになる。第一にあげられるのは「用件」である。実例<1>や<2>が典型で、様々な連絡事項があるが、合う約束に関するものが多いようだ。第二は「感情表出・相談」である。例としては<3>-<6><11>などにその時の感情がよく出ている。こうした内容では絵文字が巧みにに使用される傾向がある。第三には自分に関する「現況報告」がある。<7>などは移動中のメールで、まさに携帯メールならではの内容である。<8>は一般的な近況報告に近く、<9>はアルバイト中の現状報告から始まってほとんど詩のようになっている。ちなみに「ばんじゅ」は食器を運ぶ箱のことで「モヤ」受け手のあだ名、「早苗のみ」とは「早苗と一緒に飲みたい」ということだそうである。第四には「身の回りの話題」がある。例としては、<10><11><12>が感想や現況報告を伴いながら、身の回りで起きたちょっとした話題を伝達している。そして第五は「一般的話題」で、身の回りの話題より普遍的な話題である。とくにホームページとリンクされた話題が多いのが携帯メールらしい。例えば<13>ではキティちゃんの物語が取り上げられ、ホームページのリンクが張られている。これを開くと筋肉マンとキティーが合体したような画像(iモードの待ち受け画面)があられる。この種のメールは同報機能で何人もの仲間に送られることが多いようだ。そして第六に「チェーンメール」がある。例<14>のようなきわめて古典的なものもあるが、<15>のようにかなり巧妙なものもある。なお、この種の転送したメール数がカウントされるというのは嘘で、しかもこの例では何も見られない。
 上に挙げた実例に見られるように、一つのメールに一つの内容というのではなく、一つのメールに何種類かの内容が混在していることが多くなっている。例えば例<11>や<12>では、感情表出と身の回りの話題の両方が含まれている。
(4)携帯メールの人間関係
 携帯メールでやりとりされる人間関係には次のような特徴が指摘できる。第一に携帯メールは従来の電子メールとは違い、送信されたメールが即時的に相手に届くと考えられている。パソコンで見るメールは立ち上げられたパソコンの前にいなければ読めないが、携帯メールでは自動的に受信され、受信を音などで知らせてくれるからだ。しかしここに感情の行き違いが発生する余地がある。すなわち様々な理由(就寝や置き忘れなど)で返事が遅れると、それが内容に対する異議だととられかねないのである。この点について、ある学生は次のように言う「例えば夜の一一時にメールが来たときに、こっちはもう眠っていて、それで朝起きて気づいて送ったら、昨日僕が怒ってたっていうイメージが相手に伝わってしまって..」こうした現象は即時には伝わらないことを前提にしたパソコンのメールではあり得ないことである。すでに述べたように携帯メールでは感情のこもったメールを送信することが多いために、こうした行き違いが起きやすく、これを避けるためはこまめに返信しなければならない。これが若者のメール利用を増加させる一つの要因である。第二に特に絵文字の多用にはお互いの気遣いが現れている。電話と違いメールは相手の反応が見えないので絵文字を使った気遣いがなされるのである。これが女性に多用される理由ははっきりしないが、一つには女性特有の相手に対する気遣いの表現(例えば互いによくほめ合ったりすること)が携帯メールに現れているような気がする。第三に同報メールの人間関係がある。すでに述べたようにおもしろい話題は同報されることがあるが、この同報範囲が共通の情報と仲間意識を共有しているのではないだろうか。第四に携帯メール
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
          図3 携帯メールの相手(SIC携帯調査)
をやりとりする相手は普段よく会う友人である。SIC携帯調査では、七三.四%と最も多くの人が、携帯メールの相手として、よく会う友人を挙げている。これに利用頻度の頻繁さやコンサマトリーな内容が多いこなど合わせて考えると、「フルタイム・インティメート・コミュニティー」が成立しているとすれば、携帯メールの場であるように思える。携帯メールの空間は現実とつながっているが、しかしそこには「一般的話題」に代表されるような現実とはまた違う空間としての性質も存在している。携帯メールの世界は、現実世界の上に重層化された、もう一つの仲間空間であるといえるのではないだろうか。しかし第五に地域を越え物理的空間とある程度切り離された人間関係も存在している。それはSIC調査で二番目に多い四三.四%が挙げた相手が「普段あまり会わない友人」であることに現れている。しかしこれは最近話題となっている「メル友」ではない。なぜなら「メル友」を挙げた人は九.一%と少数派であるからだ。むしろ、ある学生が「私はけっこう遠くの県外にいる友達とメールをやっているので、今日は何があったとか、何かあったら報告したりとか、そんなかんじです。」などというように、遠くに行ったかつての友人と日常の些細なことまでやりとりするケースが多いようだ。こうした行為は通信料金が一通数円と安いことにより促進されている。同様の現象はかつてのポケベルでもみられた。このように、一部では物理的距離を超越したメディア・コミュニティー的なものも実現しているようである。
文献
マルチメディア振興センター『インターネット、携帯電話・PHSの高度利用に関する調 査研究』二〇〇〇年
中島一朗、姫野桂一、吉井博明「移動電話の普及とその社会的意味」『情報通信学会誌』 59号, 79-92,1999年
毎日新聞「つながってる?2000年携帯事情<5>」(二〇〇〇年八月二四日、朝刊、一 七頁)