「2001年芸予地震における情報通信の問題点」 『松山大学論集』13巻2号 2001 中村功
1.地震および被害の概要
2000年3月24日15時28分頃、安芸灘(北緯34.1度 東経132.7度)の深さ51km付近を震源とする芸予地震が発生した。地震の規模をしめすマグニチュードは6.7(気象庁)であった。この地震により、広島県の川内町、大崎町、熊野町で震度6弱、また呉市、広島市、三原市、今治市、松山市、岩国市、柳井市などで震度5強の揺れを観測した。
消防庁が4月18日にまとめたところによると、この地震で呉市と北条市で各1名、計2名の死者があり、広島県(193名)、愛媛県(74名)、山口県(12名)と、中国・四国・九州地方で合計288名の負傷者が出た。呉市の死者は隣家のビルの壁が崩落し被害者が下敷きになったものである。また北条市の場合は、ベランダが崩れ、主婦が下敷きになって被害にあっている(この件については後述)。負傷者全体の内訳は不明だが、呉市の清水が丘高校の体育館で落ちてきた壁にあたり11人が負傷するなど、外壁、瓦、内装材など、落下物あたってけがをした人が多かったようである。ちなみに、松山市消防本部によると、市内で発生したけが人15名のうち、瓦やコンクリート塀の落下物による者が5名、転倒によるものが4名、調理中揚げ物の油をかぶったもの3名、落下物の踏み抜きなどその他が3名などとなっており、落下物、転倒によるけがが多くなっている。
これには、内外装の取り付けを強化するという対策が考えられるが、震度6前後の激しい揺れであったから、ある程度の落下物はやむを得ないことである。地震の時は落下物に注意して、あわてて飛び出したりせず、身を守る姿勢をとる、ということしか、これに対する対策はないのかも知れない。
一方物的被害であるが、家屋の全壊が69棟、半壊558棟、一部破損が4万1,284棟であった。家屋の被害では屋根瓦のずれなど比較的軽度のものが多かったが、一部では、土砂崩れによる全壊や、ビルのピロティー部分の押しつぶしなど深刻な被害もあった。また停電や断水などライフラインの被害もあったが、島嶼部で断水が長引いた他は、とくに大きな問題は起きなかった。
表1 芸予地震被害一覧
| 死者 2名
負傷者 289名 | 住家全壊 69棟
住家半壊 558棟
住家一部破損 41,284棟
非住家公共建物 7棟
文教施設 1,140箇所
水道(断水) 48,284戸
電気(停電) 43,514戸
ガス 443戸 |
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消防庁調べ(6月4日現在)
このように芸予地震の人的・物的被害状況を見てみると、震度6弱の地震としては極めて典型的な被害をもたらした地震といえる。しかし、その一方で今回の災害見逃すことのできない大きな問題点がある。それは激しい電話輻輳(ふくそう)に端を発する、通信の問題である。災害時に電話の輻輳が発生し、問題化すること自体は、1960年代から見られるもので、別に新しい問題ではない。しかし第一に、今日では携帯電話、携帯メール、インターネットなど新たなメディアが普及し、これらを含めて輻輳の問題を捉える必要が出てきた。第二に阪神大震災以降、災害用伝言ダイヤルなど電話輻輳に対する対策がとられてきたが、その評価の問題がある。そして第三に、輻輳に強いシステムといわれるポケットベルを利用した職員招集システムの問題が発生している。本論では、各種機関や住民に対する聞き取り、および大学生に対するアンケート調査などを中心に、これらの問題を検討していく。
2.住民の被害
ある調査会社(サーベイリサーチセンター)が地震直後に、広島県内で震度5以上を記録した地域(30地点)の住民300人を対象に行ったアンケート調査によると、自分や他人のけがの手当をした人は1人もおらず、調査世帯では人的被害はほとんどなかった。また、家屋の一部にひびの入った人はいたが、家屋の全半壊は1件もない。また、ライフラインも、断水が16%、停電・ガスの停止が各6%と被害を受けた家庭はあまり多くなか
表2 地震で最も困ったこと(3つ以内) SRC調査
どこに逃げてよいかわからなかった | 16.0 | 行政からの情報が少なかった | 5.0 | 鉄道などの公共交通機関がストップした | 12.7 | 道路が渋滞した | 14.7 | 電気がとまった | 0.7 | ガスがとまった | 3.7 | 水道がとまった | 10.7 | 電話が使えなかった | 48.3 | 携帯電話が使えなかった | 38.3 | インターネットが使えなかった | 0.3 | 食料の買い出しに困った | 0.0 | 何をしてよいのかわからなかった | 9.3 | 家族との連絡がとれなかった | 31.0 | 親戚・知人の安否がわからなかった | 16.3 | 何もこまらなかった | 8.7 |
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サーベイリサーチセンター(2001)
った。物的被害は室内の小物が落下した程度で、それほど深刻なものではなかったようだ。
その一方で、住民がもっとも深刻に感じた被害は、電話・携帯電話が使えなかったことであった。すなわち、同調査で最も困ったことを3つまで回答してもらったところ、「電話が使えなかった」ことを挙げた人が48.3%と最も多かった(表2)。ついで多かったのが「携帯電話が使えなかった」ことで、38.3%の人が挙げていた。実際、当日電話が使えない経験をした人が68.3%、携帯電話が使えない経験をした人が54.3%いた。(サーベイリサーチセンター,2001)。今回の災害では人的・物的被害が比較的小さかったことと反比例して、通信の途絶が大きな問題として浮上してきた。
3.通信メディアの疎通状況
(1)通信業者への聞き取りから
今回の地震では、断線や交換機故障など、通信設備における物理的被害は報告されていない。にもかかわらず、大規模に電話が通じなくなったのは、大量の通信需要の発生により輻輳現象が発生したためである。
では、通信事業者への聞き取りをもとに、一般の固定電話の状況からみよう。NTT西日本災害対策室によると、地震直後には、たとえば広島市には通常時の13倍、松山市には16倍という大量の通話が県外からかかり、激しい輻輳を引き起こしたという。そのためNTTでは15時43分から通話規制をかけた。今回の規制は最大で80%の通話をカットするもので、広島では22時23分、松山では21時49分まで続いたという。
次に携帯電話(音声)だが、NTTドコモ中国によると、地震直後から大量の通話要求が発生し、例えば、広島市中心部の交換機では、最高で75%の通話をカットする規制をかけた。それにも関わらず通常の7倍から8倍の通話がなされたという。規制はコンピュータにより自動的になされ、規制率はその時々によって異なるので単純計算はできないが、かりに7(or8)/(1-0.75)と計算すると、28倍から32倍もの発信の要求があったことになる。規制は22時頃まで継続し、その間電話がかかりにくくなった。
またNTTドコモ四国によると、松山の交換機では75%から50%の規制をかけたが、10倍程度の通話(音声)があり、輻輳が発生している。通話の規制は15時28分から23時過ぎ
図1 携帯電話(音声)の発信呼量の変化 松山 24日 (NTTドコモ四国資料)
までかけられた。この数字を見ると広島より松山の方が輻輳が激しく、また長びいたようである。図1は24日当日の松山市の交換機における通話状況(発信呼数)を示したものであるが、これによると地震発生の瞬間から発信数が爆発的に跳ね上がっていることがわか
NTTドコモによると、そもそも携帯電話では100加入者につき3.5人程度がかけることを目安に設備をつくっており、それ以上となると輻輳が発生するという。したがって、通常の通信量の2倍ともなると、音声もパケット通信(iモード)も完全に輻輳してしまうという。ちなみに毎年1月1日0時の「おめでとうコール」の場合は通常最頻値の20倍程度の発信があり、激しく輻輳するという。
図2 iモードメールの通信登録要求数の変化 松山 24日(NTTドコモ四国資料)
一方iモードを使ったメールだが、ドコモ中国によると、直後に普段の2倍弱のメールがなされたが、これは通常ピーク時を若干上回る程度のレベルで、交換機上では輻輳は発生していないという。同様にドコモ四国でも、交換機レベルでは輻輳は発生していないという。図2は松山市の交換機における当日のiモードメール(パケット通信)の通信量(通信登録要求数)の変化を示している。これによると、地震発生直後、一旦、通信量が半分近くにまで落ちた後、それまでの2倍弱まで通信量が伸びている。しかしその伸びは音声に比べると明らかに少なくなっており、交換機の能力的にはまだ余裕があるようである。(直後に通信量が下がったのは、地震による心理的動揺で、メールを作成する余裕がなかったためであろう)これらのデータを見る限りでは、固定電話や携帯電話(音声)は地震直後つながりにくかったが、携帯メールはつながりやすかったということになる。ただ、まわりの学生の話などをきくと、当日iモードもつながりにくかったという声もある。
以上通信事業者の観点から見ると、@固定電話、携帯電話音声ともに地震直後から当日夜にかけて、大量の通話が発生し激しく輻輳したこと。Aその一方で、交換機レベルでは、iモード等の携帯メールは通信量の伸びがそれほどでもなく、つながりやすい状況にあったことなどがわかった。
(2)利用者アンケートから
しかし、とくに携帯メールについては、つながりにくかったという声や、携帯電話も事業者によってつながりやすさに差があった、という声があった。そこで、実際当日どの程度電話や携帯メールがつながりやすかったのか、を調べるために、筆者はアンケート調査を行った。調査は4月中旬に行われた。対象は松山市内の3大学の学生で、そのうち地震当日中予地方(松山周辺)にいた610人である。
まず地震直後(2,3時間後)にどのような通信メディアを利用しようとしたか、をたずねた。その結果、携帯電話(音声)から発信しようとした人が70.5%と最も多かった(図3)。携帯電話は学生にとって身近なメディアであるだけに、とっさの時に最も利用しやすかったのであろう。しかし地震直後は輻輳のために「しばらくお待ちください」の表示が電話機のディスプレイ上に表示されていた。それにもかかわらず、携帯電話をかけようとした若者がこれだけいたのである。すでに述べたように、携帯電話設備の設計上では3.5%が上限だから、およそ70%の人がかけようとすれば、輻輳するのは当然である。ついで多かったのは携帯メールで、全体の49.2%の人が発信しようとしている。通常時は、若者の通信行動としては、携帯電話の音声利用より、メール利用の方が利用頻度が高い。しかし緊急時には、メールを作成する余裕がないためか、いつもより音声に依存することが多いようだ。そして第三に固定電話から発信しようとした人は38.5%だった。一方、パソコンでメールを利用しようとした人は4.6%にすぎなかった。ちなみに、回答者の中で、携帯電話を持っていない人は3.8%、携帯メールを利用しない人は4.9%、インターネットを利用しない人は17.2%と、普段から各メディアを利用している人が多かった。
図3 地震直後の通信メディア利用率 松山学生調査(N=610)
次に利用使用した人の疎通状況であるが、発信しようとして全て通じたのは、固定電話で6.4%、携帯電話の音声利用で1.2%、携帯メールで13.7%であった。逆に全くつながらなかった人をみると固定電話と携帯電話音声利用がいずれも6割前後(58.3%、63.7%)である一方、携帯メールでは4割程度(42.0%)であった。こうした数字によると、携帯
電話の音声利用が最もつながりにくく、ついで固定電話となり、携帯メールは他の2者よりも若干つながりやすかった、ということになる。しかし、交換機レベルでは輻輳がなく、つながりやすいとみられていた携帯メールも、実際はかなりつながりにくかったことがわかった。この程度の疎通状況では安否連絡には、まだよいとしても、防災機関が利用する
には不十分であるといえる。
図4 地震直後の疎通状況 '01学生調査
では、なぜ携帯メールもつながりにくかったのであろうか。NTTドコモ四国によると、携帯メールでは交換機レベルの輻輳は発生していないが、これはあくまで基地局を通過したメールの場合である。基地局ではメールも音声も同じ装置を通過する部分があり、携帯電話音声に例えば75%の規制がかかると、他の部分で余裕があっても全く同じ75%の規制が携帯メールにもかかってしまうという。こうなると携帯メールも音声もつながりにくさは同じ、ということになる。しかし、それでも携帯メールが通じやすいのは、@携帯メールでは、着側が込み合っていて着信規制がかかっていても、発信された情報は一旦コンピュータに蓄積されるので、発信できること。(蓄積された情報は相手側の回線が空きしだい送られる。NTTドコモの場合、情報蓄積装置は東京と大阪の2カ所である)Aiモードでは一旦つ
表3 会社別携帯電話音声疎通状況 '01学生調査
| NTT au J-フォン PHS | 全て通じた
やり直して通じた
全くつながらなかった | 0.4 2.7 2.4 0
36.4 30.7 34.1 27.3
62.4 64.0 63.4 68.2 | NA | 0.8 2.7 0 4.5 | N | 258 75 41 21 |
| |
表4 会社別携帯メール疎通状況 '01学生調査
| NTT au J-フォン PHS | すぐに送れた
やり直して送信できた全く送信できなかった | 12.8 5.0 0 30.0
47.1 42.5 53.1 20.0
39.6 47.5 46.9 50.0 | NA | 0.5 0.5 0 0 | N | 187 40 32 10 |
| |
ながると、その端末のために5分間は回線を確保してくれるので、一旦つながれば、2回目以降はどんどんつながること、などが考えられるという。
次に会社別の疎通状況だが、携帯メールでNTTがわずかにつながりやすい傾向が伺えるものの、各社大きな違いはないようである。
つぎにインターネットの疎通状況である。問題なく利用できたのは25%で、約6割の人はつながりにくいとか全くつながらない等接続の悪さを体験しているる。また1割の人は、つながりはしたが反応が極端に遅かった、としている。阪神大震災以降、災害時にインターネットを重用しようという傾向があるが、インターネットも災害時には十分に機能しないことが明らかになった。今回の利用者がどのような方法でインターネットにアクセスしようとしていたのか明らかではないが、障害の原因はいくつか考えることができる。第一に一般電話回線を利用したダイヤルアップ接続では、当然、電話の輻輳で接続できない。第二にISDNを通じた接続では、電話輻輳の影響を受ける他に、プロバイダー側の輻輳によりアクセスできないことがある。NTT東日本災害対策室への聞き取りによると、ISDN網から専用線でつながったプロバイダー等のサーバーへは、回線不足により輻輳が発生することがあるという。こうした状況は常時接続のフレッツISDNやADSL等でも改善されることはないという。今回の場合はこのどちらかの原因によることが主であると考えられる。
表5インターネットの疎通状況
| 問題なく利用できた
つながりにくかった
全くつながらなかった
つながったが反応が遅かった | 25.0
32.1
32.1
10.7 | N | 28 |
| |
一般にインターネットは災害に強いというイメージがあるが、実際は意外と弱いものである。たとえば、そもそもインターネット設備における災害耐性は電話設備ほど強化されていない。例えば電話設備では設備設置、ルートの複数化、2重、3重の電源対策など長年にわたる経験と投資がなされている。それに対し、我が国におけるインターネット回線構成(トポロジー)は、いまだに東京を中心としており、設備面の多ルート化は不十分である(1)。また、NTTによると、ISDN網でも設備的には電話よりはるかに弱いという。例えば電話局からの出口は1カ所しかないし、東京では2箇所に回線が集中してしまっている。ネット用の通信サービスでは業者間のコスト競争が激しいために電話ほどの投資ができないのだという。
そのほか、阪神大震災時にも発生したことだが、、地震情報に関するサイト等にアクセスが集中し接続できないことがあった(詳しくは中村,1997参照)また、インターネット上のどこかのサーバーがアクセス集中、停電、回線切断などによって機能しなくなると、そこへの情報がネット上にたまり、連鎖的に機能が停止することもある。また停電になるとデスクトップ・パソコンが使えなくなり、さらに長引けば、無停電装置付きのサーバー、ノートパソコン、ターミナルアダプター(ISDN用の)等ですらバッテリー切れで使えなくなってしまう。
4.災害用伝言ダイヤルの利用
(1)システム概要
災害時に大量の通話が発生して、輻輳状態となり、電話がつながりにくくなるという現象は、現在の技術的環境では、いたしかたがない部分がある。通常時は100加入者あたりせいぜい数人しか利用しない施設を、災害時には60人以上の人が使おうとするのであるから、どうしても無理が生じるし、またそれに対応する設備を常に準備しておくというのは、あまりに不経済であるからだ。
そこで、災害時の輻輳を前提とした対策がいくつかとられてきた。1998年3月からNTTが運用を開始した「災害用伝言ダイヤル」は、その一つである。これは被災地内加入者の電話番号を手がかりにして、留守番電話のような仕組みで安否を伝える、一種のボイスメールシステムである。災害が発生すると被災した加入番号が設定され、まず被災地内からの録音サービスが開始される。利用者は「171」の特殊番号をダイヤルし、音声ガイドに従って本人の電話番号と安否を伝えるメッセージを録音する。伝言蓄積装置は全国50カ所に分散して設置してあるために、激しい輻輳を避けることができる。これは、被災地から外への通話は比較的かかりやすい、という性質を利用している。1・2時間後、ある程度伝言がたまったところで、今度は被災地外の運用が開始される。利用者はやはり「171」をダイヤルし、安否を知りたい人の電話番号を手がかりに、録音されたメッセージを聞いたり、安否を気遣うメッセージを録音することで、コミュニケーションをはかる。被災地外からの利用は直接全国に分散した伝言蓄積装置にかかり、被災地を全く経由しないので、輻輳には巻き込まれない。蓄積できるメッセージは今のところ最大800万メッセージで、被災加入者の数によって1加入あたり蓄積できるメッセージ数が調整される。このサービスの運用が開始されると、放送などで告知するとともに、被災地に電話をかけた際に災害用伝言ダイヤルを利用するよう呼びかけるトーキーを流し、利用を誘導する。
(2)これまでの運用実績
災害用伝言ダイヤルはサービス開始以来、10回にわたって運用されてきた。表6はこれまでの運用実績を示しているが、本表で「登録」とは「1」がダイヤルされて録音された件数で、「再生」とは「2」をダイヤルして録音を聞こうとした回数である。ただしデータでは、実際に録音されたメッセージが何件聞かれたのかは不明である。これまで最も多くの利用件数があったのは2000年の鳥取県西部地震で、約20万件の利用があった。また多くの場合で、録音より再生の件数が上回っている。これは安否を登録するより、知りたいという欲求が強いことを示しているが、これはある意味で当然のことである。しかし、東海豪雨や鳥取県西部地震では、登録件数が再生件数を上回っている。はっきりした理由はわからないが、これは、ショッキングなテレビ映像などでより深刻に安否が知りたい欲求が高まり、再生しょうとした人が録音がなかったとき、さらに、安否を知らせてほしいむねを録音する場合が多くなるためと考えられる。
表6 災害用伝言ダイヤル運用状況 (NTT資料により作成)
| 災害名 | 運用期間 | 総利用件数 | 登録 | 再生 | @栃木・福島豪雨
A岩手山雫石地震
B高知水害
C長崎豪雨
D東海村原子力事故
E岩手軽米RT冠水
F有珠山噴火
G三宅島噴火
H東海豪雨
I鳥取県西部地震 | 98年8月27日〜 12日間
98年9月3日〜 5日間
98年9月25日〜 9日間
99年7月23日〜 4日間
99年10月1日〜 4日間
99年10月29日〜 5日間
00年3月29日〜 134日間
00年6月26日〜 223日間
00年9月12日〜 34日間
00年10月6日〜 34日間 | 61,000
8,000
22,000
385
6,360
1,110
16,541
5,534
43,501
199,437 | 24,700
5,000
10,021
159
1,888
600
5,800
1,648
27,646
130,790 | 36,300
3,000
12,755
226
4,472
510
10,741
3,886
15,855
68,647 | 芸予地震 | 01年3月24日〜 8日間 | 86,981 | 33,915 | 53,066 |
| |
NTT西日本によると、今回の芸予地震では17時20分から災害地内の利用をスタートし、1時間後の6時20分から全国の利用を開始した。このサービスは3月31日までの8日間運用され、録音33,915件、再生53,066件、合計86,981件の利用があった。図5は今回の運用状況を示しているが、初日の24日は7万件以上の利用が集中し、その後急速に利用が減少している。これは、輻輳が当日に限定され、また避難所等へ避難した人もほとんどなかったので、当然のことといえる。
図5 芸予地震時の災害用伝言ダイヤル利用状況(NTT資料)
(3)鳥取県西部地震時との違い
ここで注目されるのは鳥取県西部地震との違いである。鳥取県西部地震では最大震度が震度6強と芸予地震より若干強かったものの、死者はなかったし(今回の死者は2)、強い震度を記録した地域に住む住民数は今回より少なかった。また輻輳の程度も芸予地震のほうが激しかった。すなわち、鳥取県へは平常時の約10倍の通話があったが、規制の最高点は50%(鳥取県)にすぎない。にもかかわらず、今回の利用件数は、鳥取県西部地震時の半分以下であったのである。なぜだろうか。
まず確認しなければならないのは今回の災害用伝言ダイヤル運用の告知である。当日松山で録画したNHKテレビを調べると、いずれも全国中継のニュースの中で、19時22分、21時37分、23時23分の3回、ほぼ同じスタイルの告知がなされていた。その放送文は以下の通りで、それぞれ約1分間を費やしたものであった。
「中国・四国地方にかける電話がつながりにくくなっています。このためNTT西日本は、伝言を録音して家族や知人に安否を知らせる災害用伝言ダイヤルを運用しています。災害用伝言ダイヤルの対象となるのは市外局番が082、083、084、089で始まる地域です。伝言を録音するには、まず171をダイヤルし、案内に従って「1」をダイヤルしたあと、被災地の人の電話番号を市外局番から入れて、伝言を残します。一方伝言を聞くには、171のあと「2」をダイヤルし、続けて連絡を取りたい相手の電話番号を市外局番から入力します。NTT西日本では、特に広島、山口、愛媛の各県にかける電話がつながりにくくなっていることから、緊急目的以外の電話を控え、災害用伝言ダイヤルを使ってほしいと呼びかけています。」
そして同時に画面には次のような2種類のパタンが流された(図6)。運用開始が17時20分であるから、ローカル枠の17時30分以降のニュースで、そして全国枠では18時30分以降のニュースで告知を開始するのがベストであった。しかし、全国運用が始まって以降の全国枠ニュース(7時、9時、11時)では、それぞれ詳しく告知していので、ある程度許容できる範囲といえる。少なくとも、鳥取県西部地震時より告知が不足していたために、利用が少なかった、とはいえないであろう。
|
災害用伝言ダイヤル
対象の市外局番
082
083
084
089
|
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災害用伝言ダイヤル
伝言録音
171ー1−相手の番号
伝言聞く
171−2−相手の番号
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図6 地震当日NHKで流されたパタン (イメージ)
むしろ、違いは今回の被害報道の内容にあると思われる。NHKの場合、ニュースは基本的には、@震度情報、A被害情報(自治体、警察、消防)、B交通情報(鉄道、道路、航空)の順でなされていた。16時台は若干のけが人の情報が入っただけで、映像的にもビルの外壁が壊れた程度のものであった。はじめて死者の情報が入ったのは17時の全国ニュースで、呉市のケースは17時5分、北条市のケースは17時8分であった。映像的にはNHK局舎内の映像、広島市内の地割れ、駅からの中継、飲食店の内装が壊れたものなどが流れたが、それほど緊迫した映像はなかった。そして17時台後半は相撲中継になる。18時台のニュースでは「広島県で震度6弱 広島・愛媛で2人死亡」という文字が画面右下に入り、緊迫感のある映像になる。ここから、今治市の全壊マンションや呉市内住宅の死亡現場などの映像が入るが、マンションには隙間があるし、呉市の現場は屋根が壊れているのがわかる程度で、人が死んでいることが直感できるような、インパクトのある映像はなかった。そして、その後のニュースでもほぼ同じ映像が繰り返し放送される。一方鳥取県西部地震の場合、境港市の日本家屋(出雲大社上道教会)の1階が完全につぶれ、屋根が地上に落ちている映像が繰り返し流された。視聴者はここから重大な人的被害を直感できたのである。今回はこうした映像がなかったため、相手の様子を知ろうとして電話こそかけたものの、171を利用してまで安否を知りたいという危機意識が少なかったのではないだろうか。このことは、今回は録音より再生が多い、という点にも現れている。つまり、録音を聞こうとしたが、録音がなかった場合、「安否を知らせるように」とさらに録音をする人が少なかったのではないだろうか。
(4)知名度の低さ
しかし、鳥取県西部地震にしても、今回にしても、災害用伝言ダイヤルが十分使いこなされているとはいえない。171システムの知名度の低さがその原因の一つである。いまのところ、今回の被害区域でどのくらいの知名度があったのかという直接的なデータはない。しかし東京大学社会情報研究所が2000年東海水害時に行った調査(西枇杷島町・西区対象)がある。それによると、災害用伝言ダイヤルについて、「聞いたこともなかった」という人が約8割に達していた。今回も似たようなものだとすれば、住民のサービス認知度は極めて低いといえる。災害時の利用度を上げるためには、少なくともそのサービスを知り、輻輳時に利用を思い浮かべられるようにしておかなければならない。そのためには災害時ばかりでなく、普段から啓蒙活動を行っておくことが重要であろう。
図7 災害用伝言ダイヤルを知っていたか (東海水害調査;東京大学社会情報研究所)
5.自治体の情報通信
自治体における情報通信の問題をさぐるために、愛媛県消防防災安全課、松山市消防局、今治市消防本部、NTT西日本などに聞き取りをおこなった。
(1)職員招集システム
災害時にポケットベル(クイックキャスト(2))を利用して職員を参集するシステムは国、自治体、消防団等に導入されている。導入総数は不明だが、NTTドコモの資料によれば、2000年12月までに少なくとも58の組織が導入している。ポケットベルによる情報伝達は、加入者の減少や構造上の特徴から、災害時にも輻輳を起こさないので、災害時の職員招集に適したメディアといえる。愛媛県では、県庁と今治市消防本部でこのシステムが導入されている。しかし今回このシステムがまったく機能しなかったのである。
まず県庁だが、ここでは、気象庁(ひまわり−マイコス経由)および「県内震度情報ネットワーク」から県内の震度が3以上の情報が入ると、防災関係職員のポケットベルに震度情報を自動的に流し、招集を促す仕組みとなっており、1996年から導入されている。発信は地震後だいたい2,3分後になるという。ポケットベルは消防防災安全課をはじめとする防災関係職員115名が持っている。忘れて上着に入れたままにして、しまっていることもあるが、鳥取県西部地震の時は正常に機能していたという。
しかし今回は全く機能しなかった。その主な原因は一般電話回線の輻輳である。県庁では安全性を考えて2系統の発信装置を用意しているが、そのいずれもが一般の電話回線を通じてNTTドコモにつながる仕組みになっていたのである。これでは当然輻輳でつながらない。さらに発信装置の一方が揺れではずれる、というアクシデントもあった。今回は、たまたま激しい揺れを感じた職員が自発的に登庁し、招集に直接的な問題はなかったが、県庁から離れた場所の、局地的な災害には対応できないおそれがある。
同様の問題は今治市でもあった。ポケットベルを使った招集システムは、約420人の全消防団員に配布している。地震当日、午後4時過ぎになって道路や溜池の決壊等の被害確認のために市職員だけでは足りないということで、消防本部では消防団を招集しようとした。しかしこのポケットベルシステムは全く機能しなかった。システムは今年の2月に導入し、火事の際などにしばしば使っていて、災害時にこれが使えないとは全く考えていなかったという。今治市の場合、発信装置は消防本部にあり、災害優先電話を経由してドコモに発信する仕組みとなっていた。災害時優先電話は災害の輻輳時にも優先してつながるために、県庁とは違い、問題はないはずであった。しかしNTT今治によれば、当日は(089)松山方面への呼が極端に多く、市外回線が全くふさがっていた。消防局からの呼は今治局までは来たが、ポケベルの交換機は松山市にあるため、そこまではつながらなかったのだろうということである(災害時優先電話については後詳)。今治市消防本部では、これまで市内17ヶ所あるサイレンと無線で結ばれており、サイレンを鳴らすこで団員を招集していた。しかし新システムの導入により、無線設備をとりはずしまった。結局、緊急車両で各サイレン設備まで行き、そこでサイレンを鳴らして消防団員を招集したという。その結果、招集完了には一時間ほどかかってしまった。
結局2例とも、ポケットベルに情報を発信するところで固定電話網を利用していたために、機能しなかったことになる。そして輻輳は災害時優先電話を使っていても避けられないことも明らかになった。NTTドコモによると、同様のシステムを導入している東京都小平市では、固定電話回線のバックアップとして、衛星携帯電話を確保しているという。ポケットベルを使ったシステムについては、固定電話網の輻輳を回避するために、様々なバックアップ手段を早急に整備すべきである。
(2)災害時優先電話
行政機関や放送局、ライフライン会社など防災関係機関には災害時に輻輳で電話がつながりにくくなっても、優先的につながる災害時優先電話が備えられている。また優先順位は低いが公衆電話(ピンク電話をのぞく)も優先措置がとられている。こちらは火事や救急通報など一般市民のための措置である。これまでにも災害時に優先電話がつながりにくいという事があったが、今回もこれがみられた。前述の今治市の職員招集システムの例はその最も顕著なものであった。しかしそのほかにも、防災機関の電話がつながらなくて困ったという例がある。例えば今治市役所では電話がつながらず職員の招集に手間取っている。結局、公衆電話が通じやすいということで、それを使って市の職員を招集したという。あるいは松山市消防本部でも、災害時優先電話は比較的つながったが、相手によってはつながりにくかったという。
NTT東日本災害対策室によると、2000年現在、全国で約36万台がこの災害時優先電話に指定されている。この番号は最寄りの市内交換機で特別に認識されており、そこからの発信があると接続の優先権が与えられて(いわば印籠のようなものを与えられて)経路上で優先的に接続される。その通話は当然、発信規制や着信規制の対象にならないので、つながりやすい。しかしその優先電話からの通話が先方につながるためには、その瞬間にいずれかの回線が空いていることが条件である。すでに確立している通話を切断して優先電話を通すわけにはゆかないからである。一般電話の規制は優先電話の空き回線を確保するための処置でもあるが、規制前や、あまりにも通話が多い場合には回線がいっぱいとなって、優先電話からの通話もかからなくなってしまうという。
災害時優先電話については利用者側の問題もある。最大のものは優先電話の存在に気づかないことと、どの電話機が優先電話か理解していないことである。今治市の災害対策本部にも優先電話は当然あるはずであるが、わざわざ外の公衆電話を使いっていることなどは典型的な例である。また災害時優先電話に対する誤解もある。たとえは松山市消防局では相手も災害時優先電話でないと優先されないと誤解していた(もちろん発信側が優先電話なら何処に対しても優先措置はとられる)。
また災害時優先電話は携帯電話にもある。NTTドコモでは、災害時優先電話は全体の0.04%であるというから、固定電話よりも指定は少ない。優先電話は基地局レベルでも優先されるが、ある場合には100%規制がかかることもあり、また、すでにつながっている非優先通話を切断して割り込む機能はないために、かかる確率は高いが、固定網同様、必ずかかるというわけではない。
その他の優先措置としては119番や110番への通話がある。これらは重要通話なので、一般の電話からでもその番号に発信されたことを交換機が関知すると、規制からはずれて通話が優先される措置がとられている。しかしその地域で発信者(受話器をあげる人)が多く、トーン音が聞こえないような激しい輻輳状態では、この優先措置も効力を発揮しない。災害時優先電話や、公衆電話ではこうした状態になりにくいので、119番通報もかかりやすい、というわけである。しかし、消防側の受付台の数や回線数が限られているので、うまく発信されても、通話が殺到すると、話し中や、消防側の輻輳でかからなくなることも多い。
このように災害時優先電話に依存できないとしたら、防災機関はどうしたらよいのだろうか。基本は防災用の無線の整備である。今回も国と県、あるいは県と市町村を結ぶ防災行政無線は十分機能している。これらは内線電話に組み込まれ、普段から利用していることがいざというときの有効性を高めている。しかし、市町村と住民を結ぶ「防災行政無線固定系」(同報無線)は松山市にもない。全国的には市町村への普及率が半分を超えているのだが、愛媛県をはじめとする西日本では、整備が特に遅れている。この設備に市民からの情報収集機能を付ける高度化が検討されており、そうしたシステムも有効だろう。また市、病院、放送、ライフライン等を結ぶ「地域防災無線」と呼ばれるものも有効である。例えば現在、救急車は搬送先の病院と携帯電話を通じてやりとりをしている。今回は松山市でも今治市でもけが人が少なかったために、携帯電話使用不能による問題は起きなかった。しかし大量のけが人が出た場合は、空きベッドの確認など、通信ニーズが高まる。そこで「地域防災無線」が有用になるのである。この「地域防災無線」は全国的にも普及が十分ではなく、早急な整備が必要である。
そのほか、専用線やISDN(データ系)などが災害時の輻輳に強いので、上手な活用を考えるべきであろう。
(3)その他の問題点
阪神大震災後、愛媛県では消防防災ヘリコプター(要員8人)を導入した。今回は地震直後の3時30分から出動準備し、4時12分に松山空港を離陸した。北条市、越智郡、松山市方面を偵察飛行し、6時10分に着陸している。搭載された映像カメラからリアルタイムの映像が入り、これを衛星系の防災行政無線で、首相官邸に送ることができたという。一見何の問題もないようだが、松山市伊台の崖崩れや、住宅の瓦の被害は上空からは把握できず、翌々日にふただび映像を撮るために偵察飛行をしている。翌日飛ばなかったのは、雨天のため偵察飛行ができなかったためである。ここで、@上空からの被害把握には限界があること、A雨天・夜間はヘリが使えないことなどの問題点が浮き彫りになった。
またこれは直接情報通信の問題ではないが、愛媛県庁では地震後、消防防災安全課のあるビルは停電し、災害対策本部の置かれたビルはエレベータが故障で止まってしまった。災害対策本部は、通信施設のそばということで11階に設置されていたために往来に支障をきたしたという。こういうことを考えると災害対策本部はできるだけ低層階(水害のことを考えると2階がベスト)に設置する方が望ましいわけで、今後こうした面の改善も必要であろう。
6.北条市の死亡事例
最後に北条市の死亡例と情報通信の関係を見ておこう。報道によれば、北条市鹿峰に住む50才の主婦が、地震直後自宅で屋外に避難しようとしたところ、崩れてきたコンクリート製のベランダの下敷きになり、死亡した。近所の人たちが119番通報したが輻輳でかからず、救急隊の到着が遅れてしまったという。
現地で近所の人に話を聞いたところ、地震時、夫は市内に外出中で主婦が一人で自宅に居たという。夫が帰宅してみると、ベランダの下に妻が下敷きになっており、近所の人に助けを求めたという。したがってどのような経緯でベランダの下敷きになったのか誰も見ていなかった。また周囲から見えにくい所だったので、近所の人も下敷きになっていることに気づかなかったという。そこで近所の人が119番に電話したが、一般電話でも携帯電話でもつながらなかったという。結局何度も繰り返して、結局、携帯電話から通報することができたという。一般にこのような場合は公衆電話でかければつながりやすい。そうした知識が不足していたのではないかと考えられたが、事故の起きた場所は畑の中に造成された住宅造成地で、そもそも公衆電話がまわりにないような所であった。こうした場合は、今のところ、取りうる有効な対策はない、ということになる。
7.最後に
物理的被害そのものは比較的軽微だった今回の芸予地震だが、情報化が進展する中で起きた災害であるだけに、様々な新たな問題が浮き彫りになってきた。たとえば、携帯電話や携帯メールの輻輳に対する弱さ、災害用伝言ダイヤル、ポケットベルによる職員招集システム、防災ヘリなどの問題点などである。また固定電話の輻輳や、災害時優先電話の問題など、従来からの問題もなかなか解決されにくいことがわかった。
情報通信の世界では今後さらに劇的な変化が待ち受けている。例えば電話の分野ではIP電話といったこれまでとは違う通信網が出てくる。またLモード等の新たなサービス、さらに光ファイバーやDSLといった大容量の高速通信網による通信インフラの整備もある。災害時の情報通信という観点から、これらの変化を見ると、少なくとも3つの点に注目する必要がある。第一は厳しいコスト競争の中で展開する新たなサービスに、これまでのような災害対策が可能だろうか、という点である。これは、災害時の脆弱性が増すのではないかという観点である。第二に、これとは反対に、映像を中心とする大容量の通信を支える強力な通信インフラの誕生により、長年の懸案であった電話の輻輳の問題がハード的に解決するのではないか、という観点もある。もっとも、現段階では、自家用車が走っていた高速道路に車線数は同じまま、大型トレラーが走るようなもの、というたとえに象徴されるように、台数(利用者の数)が増えれば同じように渋滞(輻輳)が起きる、ということのようではあるが。そして第三に、人的(ソフト面の)問題にも注目すべきである。たとえば、技術的に優れたシステムが利用者に使いこなされないとか(災害用伝言ダイヤルの例)、組織(会社)が異なると技術的整合性をとりにくいとか(職員招集システムの例)、社会的合意や組織内の意志決定が不十分なために必要な技術が導入されない(防災無線の例)、といったことである。
しかし、いずれにしても、各段階において問題点を早期に明らかにし、それを着実に改善していくことが重要である。
注
(1)例えば全国の大学間を結ぶ学術情報ネットワーク(SINET)では、外部と接続されているのは4カ所で、うち3カ所は東京と千葉となっている。また全国には3つの基幹ループがあるが、通常の通信量が能力の6割になるように設計されているので、1カ所が切れると、全体として通信能力オーバーの状態に陥るという。
(2)ポケットベルはNTTの商品名だったが(一般名詞は「無線呼び出し」)、2001年1月からポケットベルは「クイックキャスト」と名称を変更した。しかしここでは一般に使われている「ポケットベル」の名称を使用した。
文献
サーベイリサーチセンター『平成13年芸予地震に関する調査報告書』 2001
中村功、廣井脩「災害時の安否情報とメディアミックス」『東京大学社会情報研究所調査 研究紀要』第10号、1997
(本稿は平成12年度松山大学特別研究助成の成果の一部である)